着物ITベンチャー

11月10日に官報へ掲載し、主要なお取引先には封書でご連絡させていただきましたが、1ヶ月後の2018年1月1日付けで株式会社キモノラボは株式会社サニーデイサービスへ吸収合併します。

キモノラボという会社は(設立当初は株式会社フリソデお嬢という名称でした)、そもそも2011年に着物・帯・和装小物のメーカーが共同出資するという、言わばジョイントベンチャーのような形式で、新しい振袖販売・レンタルの展開を目指すという主旨で設立されました。斬新なスタイリング提案、新しい販売チャネルへの試みなど、面白い取り組みではあったと思います。ただ、振袖という市場の特殊性に加え、参加メンバーそれぞれが、自身が経営する会社の代表者であるということもあり、なかなか軌道に乗らない状況が続きました。時を同じくして、着物の宅配レンタルビジネスを立ち上げた会社がそれぞれ業績を伸ばしていると聞いた私は、いても立ってもいられなくなり、立ち上げのために動き出します。人員の確保、(当時の立ち上げメンバーがゴリゴリっとやってくれたので、私はあれこれ言うだけでしたが)予約システム構築のための要件定義、そしてそれを運営する法人が必要であったため、参加メンバー各社から株を買い取り、(当時は旧社名でしたが)サニーデイサービスの100%子会社として運営を始める際に、キモノラボという社名に変更したというのが経緯です。

何故、わざわざ子会社を作ったのかというと、流通への対策、新しい文化の醸造という二つの側面があります。

流通への対策というのは、製造卸業を営む以上、全国商圏で着物の宅配レンタルサービスを展開するということは、事実上全ての小売店や貸衣装店と競合してしまいます。我々は問屋を通して商品を流通させることが主であったこともあり、どのような形でハレーションが起きるか分からないため、法人の名義は別にしておきたかったというのが一つ目。

新しい文化の醸造というのは、すべからく全ての新規事業は成功しないということを私が身を持って証明してきたことが背景にあります。

(特に既存の事業がある状態での)新規事業が成功しないのは何故なのかということは、未だ語り尽くせないテーマではないでしょうか。フレームワークとして押さえておきたい考え方もありますが、私個人の実感としては新しい文化をどのような形で生み出し、それをどう醸造させるかの二つが成功させるためのポイントではないかと思っています。

新しい文化を生み出すためには、既存事業から新しい事業を生み出せる人材をコンバートしてくるか、新しい事業を生み出せる人材を採用するかの二択しかありません。私の場合は後者のパターンでしたが、やり方さえマスターすれば既存事業からコンバートしてきた人材の方がドラスティックに事業を動かせる可能性もあります。また、1人でもそういう人材が既存事業から出てくると、会社としての強さや厚みは驚くほどのレベルで増すという実感も得た経験があります。

どう醸造させるかということですが、シンプルに言うと会社や事業体を(会社への往復やランチの際に遭遇しないレベルで)別の地域で運営させるかということが大切なのではと思っています。新規事業とは最初は圧倒的な金食い虫であり、既存事業の人間からすると、期待はしていると口では言いながら、その費用は俺たちの稼ぎから払われているのが気に入らないし、万が一でも上手くいったら、新しいことを覚えたり、新しいスキルをマスターしたりしなければならないため、それはそれで困るというのが本音なわけです。

一方、新規事業を形に出来る人達というのは、良い意味で空気なんか読んでいられるかという属性の人達が多いわけですが、そういう人達でも既存事業の人達と同じ事業所で働いていると、色々な意味で悪いマインドに引っ張られてしまいます。気にしていないと言いながらも、「調子はどうなん」、「売上の見込みはどうなん」と言われることが、ただひたすらお客様のニーズを捉えなければならないスタートアップ時には必要の無い邪念となります。その影響を避けるためにも、事業所を別にする、というシンプルなメソッドはあらゆるケースに有効なのではないかと思っています。

この二年は売上を伸ばしてはいるものの、2億台で留まってしまっている当社ですが、最大のボトルネックは私の意識レベルの低さでしょう。多店舗展開における3店舗目の壁という話(これはまた別の機会に)と同じで、立ち上げた事業に関するあらゆることの権限を移譲出来ていないことが、更なる成長にあたっての最大の要因になっているのは間違いありません。そしてもう一つ、成長している着物ITベンチャーという触れ込みにジョインしてきてくれた最近のメンバーは、立ち上げ当時では採用どころかエントリーすらしてくれなかったであろう、実務レベルの高いメンバーです。1→10への仕組みを作る力は非常に頼もしいものがあります、が、しかし、0→1の無いものを生み出す力が立ち上げメンバーに比べると(その経験が無いこともありますが)やはり弱い。

↑2014/10/31 8:06撮影

前年の春に立ち上げた「京都 かしきもの」が思うように立ち上がらない中、もがき苦しんだ中で掴み取った自社WEBマーケが当たり、昨対300%を超える目標を掲げよう!と当時のメンバーで分担して書いた張り紙です。もう一度、来期は0→1の無いものを生み出しながら、1→10の仕組みも作ることで、この時以上に高いレベルの成長性を実現したいと思います。行くぜ!300百万円!!