はれのひ事件

今年の成人式はとんでもないことが起きてしまいました。
https://news.yahoo.co.jp/list?t=furisode_trouble_harenohi
一週間が経った今も、経営が窮地に陥っていたこと、被害者の方々への救済の動きなどの報道が入り乱れています。

実は2012年7月の横浜店(事業停止時は横浜みなとみらい店)立ち上げからしばらく、キモノラボとして振袖・帯の商品供給を行っておりました。元々はある方からのご紹介で経営者とお会いし、商品供給を依頼されたことがきっかけで取引を開始。それまでは前売り問屋への商品供給が主で、なかなか小売店の実情が見えにくいという状況であったこともあり、小売店(正確には振袖レンタル&スタジオ業態ですが)立ち上げからの一連の流れを傍目で見られたのは、その後リテール業へ大きく舵を切る中で非常に有益な経験ではありました(当時は京都 かしきものも立ち上げ準備中で、サイト自体がまだオープンしておりませんでした)。

経営者個人についても色々と書かれていますが、キモノラボとしては取引を2年弱で終了させたため、私が知っていることはそれほど多くはありません。報道されているように、過去の経歴の中で学んだチェーンストア理論と振袖の集客から成約へのノウハウを組み合わせることで、多店舗展開を実現するとは言っておられました。店舗開発のノウハウなどにはなるほどと思ったことも多いのですが、肝心の集客手法はテレアポ一本槍であり、名簿が手に入らなくなるこれからの時代に通用するのかなと疑問に思ったことも事実です。しかし、横浜店開店からしばらくは飛ぶ鳥を落とす勢いで成約件数を伸ばしていくのを見て、そのノウハウの強さにある意味では関心させられたものです。結果的には振袖のテレアポ集客がその直後から急速にお客様から嫌厭されたことで、振袖マーケットの地図は大きく塗り替わっていくことになるのですが、多店舗展開していたためにその影響をもろに受けた結果、事業の破綻へと繋がっていったのだろうと推察されます。

成人式当日に事業停止、言うまでもなく最もやってはいけないことであることは間違いありません。一方で矢印を自分に向けてみれば、自分の会社はあらゆる天変地異や地政学上のリスクなど、どんなことがあっても100%潰れないと断言出来る経営者がどれだけ存在しているでしょうか。盤石な財務体質を持つ会社の経営者ほど、そういう意味において慎重な考え方をしていると感じます。あってはならないことですが、明日は我が身。同様の事件が起きないための報道や社会的制裁はメディアの方々に任せるとして、改めて私たちは着実に経営基盤を強固なものにしていかなければと気を引き締めると同時に、具体的な施策として京都 かしきものでは代引き決済を近日中に導入することにしました。
http://kashikimono.com/news/16

今回の事件は特定の会社・経営者の問題であることに間違いはありませんが、サービスの提供と代金の支払い時期が大きく離れている現在の振袖ビジネスが、世の中から受け入れられなくなる可能性も出てきました。私が和装業界に入った2006年当時は、成人式の1年前に振袖を決めるというのがまだスタンダードでありました。しかし、一人の方が振袖を二枚借りることは有り得ないため、先に成約したもん勝ちとばかりに、対象となるお嬢様へのアプローチは年々早期化し、早い所では高校3年生の段階でアプローチしているところもあるようです。

その年代のお嬢様は容姿も内面も変化が著しい時であり、あまり早い段階で振袖を決めるのは得策では無いのではと個人的に思っていましたが、ビジネスとしても1年~2年後に提供されるサービスに対して全額を前払いするというのは個人的な消費者心理としても抵抗感はありますし、今回のことで一定の是正が求められる可能性もあります。

一方の小売店側からすると、お客様へのアプローチが早くなるということは、商品の仕入や販促も前倒しで行っているため、費用の支払いも早くなっています。この状況で万が一、成人式当日や終了後に代金を回収するとなった場合、キャッシュフローが大きく狂うため、経営のバランスが崩れるところも出てくるでしょう。

昨年の年末にはこの逆パターンの話が話題になりました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171220-00010012-abema-soci
予約ビジネスにとって、キャンセルというのが悩みの種であることも間違いありません。

ただ、「お客様のために」を掲げていながら、お支払方法を「銀行振込」と「クレジットカード決済」の二種類しかご用意していなかったことを今更ながらに猛省しております。2019年以降の成人式振袖を準備されるお客様は、大手のチェーン店や地域の老舗呉服店が安心と思われる方が増えると思われます。宅配レンタルという店舗に行けない、商品を事前に確認出来ないという不安要素が多い業態である我々が出来ることは、商品の情報を多くお伝え出来るページを作りこみ、メールや電話にて適切な商品案内をさせていただくこと。そして商品が届くまでお支払いいただく必要が無い代引き決済をご利用いただくことで、少しでも不安なお気持ちを解消出来ればと考えております。

18歳成人が実現することで成人式のあり方が大きく変わるであろうこと、昨年からの生糸(絹糸)価格の高騰、そして今回の出来事が決定打となり、今後の振袖マーケットは劇的に変化していくでしょう。我々もお客様からご支持いただけるように、新しい商品の開発やサービスの改善を続けていかなければなりません。

2018年成人式から帰ってきた、メンテナンス中の振袖(一部です)です。本年は遂に200名を超えるお客様にご利用いただきました。

今回は1月17日(火)から銀座三越7階 サロン ド きものにてスタートする「KIMONO VILLA GINZA」について宣伝・告知を兼ねた内容で本当は書く予定でしたが、この話題に触れないわけにもいかなかったため、また改めての機会に。本日よりVILLAのWEBにて木下着物研究所の木下代表に執筆いただく着物コラムも始まりました。
https://kimono-villa.com/第一回 着物はコミュニケーションツール
レンタルという概念を越えたレベルの品揃えを、ぜひ一度ご覧いただきたいと思っております!